21日の米国株式市場でダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反落し、前週末比8ドル23セント(0.1%)安の1万0442ドル41セントで終えた。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は8日ぶりに反落し、同20.71ポイント(0.9%)安の2289.09で終えた。中国経済の安定的な成長への期待感などから買いが先行したが、欧州金融への不安感などから外国為替市場でユーロ相場が下げると、投資家がリスク回避に動いたとみられ、株価は下げに転じた。
19日に中国人民銀行(中央銀行)が人民元相場の弾力性を高めると発表。中国経済の過熱を抑え、持続可能な成長を促進するとして、「世界経済にもプラス」との受け止め方が広がった。輸出関連株を中心に買いが先行し、米株式相場は高く始まった。
人民元相場が上昇すれば、中国企業に対する米企業の競争力が高まるとの見方から、非鉄のアルコアや鉄鋼のUSスチールなどが大幅上昇。建設機械のキャタピラーなど景気敏感株も全般に上げ、ダウ平均は上げ幅を140ドル以上に広げる場面があった。
一方、欧州金融機関の格下げなどを受けて午後にユーロが売られた。投資家が運用リスクを回避したとみられ、原油など商品相場が急速に水準を切り下げた。つれて米株も下げに転じて終えた。米株相場は最近、急ピッチで反発してきた後とあって、ハイテク株などを中心に利益確定売りが出た面もあった。
ニューヨーク証券取引所(NYSE)の売買高は約10億7000万株(速報)。ナスダック市場は約19億株(同)。業種別S&P500種株価指数(全10業種)では「消費循環」と「情報技術(IT)」など8業種が下落し、「素材」と「一般産業」が上昇した。
個別では、電子書籍端末「キンドル」の値下げを発表したインターネット小売り大手アマゾン・ドット・コムが下落。映画「トイ・ストーリー3」の週末の北米興行収入が好調だったと報じられた映画・娯楽大手ウォルト・ディズニーは小幅安で終えた。
メキシコ湾の原油流出事故の事態収拾への不透明感から、石油大手BPも売られた。人民元相場が上昇した場合の輸入コスト増などが意識され、ディスカウントストア大手のウォルマート・ストアーズも下げた。
一方、アルコアが5%超上昇し、ダウ工業株30種平均で上昇率首位となった。
ダウ工業株30種(ドル)
終値:10442.41 前日比:‐8.23
始値:10452.46 高値:10594.16 安値:10395.55
年初来高値:11258.01 年初来安値:9757.55
ナスダック総合指数
終値:2289.09 前日比:‐20.71
始値:2341.11 高値:2341.11 安値:2277.73
年初来高値:2535.28 年初来安値:2100.17
S&P総合500種指数
終値:1113.20 前日比:‐4.31
始値:1122.79 高値:1131.23 安値:1108.24
年初来高値:1219.80 年初来安値:1040.78
米30年国債:4.165% 米10年国債:3.247%
シカゴ日経平均先物9月限(ドル建て)終値 10200 (‐30) 大証終値比
シカゴ日経平均先物9月限(円建て) 終値 10160 (‐70) 大証終値比
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