27日の米国株式市場は反落し、ダウ工業株30種平均は前週末に比べ48ドル22セント(0.4%)安い1万0812ドル04セントで終えた。ダウ平均が前週末に2%近く上昇し約4カ月半ぶりの高値を付けたことから、利益確定目的の売りが優勢になった。欧州銀行の財務悪化に対する警戒感が再燃し、金融株が売られたことも相場を押し下げた。一方、企業のM&A(合併・買収)関連のニュースを好感した買いも入り、下げ幅は限られた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は11.45ポイント(0.5%)安の2369.77で終えた。
米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが同日付で、アイルランド大手銀アングロ・アイリッシュ銀行の長期債務格付けを3段階引き下げたと発表。欧州銀の財務の健全性に対する懸念から、欧州銀の株式やADR(米預託証券)が軒並み下落した。米金融株にも売りが出て、相場の重荷になった。
一方、M&A関連のニュースが相次ぎ、企業が事業拡大に積極的になっているとの見方が相場を支えた。食品・日用品大手の英蘭ユニリーバが米美容・健康用品大手のアルバート・カルバーを買収すると発表し、米サウスウエスト航空は同業のエアトラン・ホールディングスの買収で最終合意に達したと発表した。アルバート・カルバーは20%近く上昇、エアトラン株は6割以上急伸した。
ダウ平均は午後に10ドルあまり上昇する場面があったが、引け前に改めて下げに転じた。
業種別S&P500種株価指数では「金融」が1%あまり下げた。ゴールドマン・サックスが医療機器2社の投資判断を新規に「売り」としたことから「ヘルスケア」の下げも目立ち、全10業種中8業種が下げた。上昇は「通信サービス」、「公益」の2業種。売買高はニューヨーク証券取引所(NYSE)が約9億2000万株(速報値)、ナスダック市場が約18億6000万株(同)だった。
南アフリカの小売大手マスマート・ホールディングスに買収提案したと発表した米ディスカウントストア大手のウォルマート・ストアーズが1%あまり下落した。スペインのサンタンデール銀行の子会社である米中堅地銀ソブリンバンクの買収交渉が滞っていると報じられた同業のM&Tバンクが7%下げた。
ダウ平均構成銘柄では米銀大手バンク・オブ・アメリカが2%あまり売られ、下落率首位。JPモルガン・チェースや保険大手トラベラーズも下落した。製薬大手ファイザーやゼネラル・エレクトリック(GE)も売りが優勢だった。
一方、米政府から受けた公的資金の返済に絡み、米財務省が早ければ今週中にも政府管理からの脱却に向けた計画を発表すると伝わった保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が2%近く上昇した。アナリストが短期的な投資判断を「買い」にした米携帯電話大手スプリントが3%以上上昇した。ダウ平均構成銘柄では通信大手のAT&Tやベライゾン・コミュニケーションズが上昇した。
ダウ工業株30種(ドル)
終値:10812.04 前日比:‐48.22
始値:10860.03 高値:10873.20 安値:10809.62
年初来高値:11258.01 年初来安値:9614.32
ナスダック総合指数
終値:2369.77 前日比:‐11.45
始値:2379.73 高値:2386.01 安値:2368.65
年初来高値:2535.28 年初来安値:2061.14
S&P総合500種指数
終値:1142.16 前日比:‐6.51
始値:1148.64 高値:1149.92 安値:1142.00
年初来高値:1219.80 年初来安値:1010.91
米30年国債:3.723% 米10年国債:2.531%
シカゴ日経平均先物12月限(ドル建て)終値 9555 (+15) 大証終値比
シカゴ日経平均先物12月限(円建て) 終値 9510 (‐30) 大証終値比
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