10日の米国株式市場は反落し、ダウ工業株30種平均は前日比54ドル50セント(0.5%)安の1万0644ドル25セントで終えた。7月の中国の輸入が市場予想以上に鈍化し、世界経済のけん引役である中国の成長が減速するとの懸念から売りが先行した。一方、米連邦準備理事会(FRB)が保有する住宅ローン担保証券(MBS)の償還資金などを米国債に再投資すると発表したことが好感され、買いが優勢になる場面があった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合指数は、前日比28.52ポイント(1.2%)安の2277.17で終えた。
中国の景気減速懸念からエネルギー株や素材株に売りが先行した。アナリストが台湾でパソコン出荷が鈍化していると指摘し、インテルやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)の業績見通しなどを引き下げた。米景気の回復をけん引してきたIT(情報技術)業種の収益の先行き不透明感が強まり、インテルは4%の大幅安となった。ダウ平均の下げ幅は一時150ドルに迫った。
一方、FRBが10日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)でMBSなどの償還資金を米国債に再投資すると表明すると、米株式相場は下げ幅を縮小。緩和的な金融環境が長期化し、株式市場に資金が流れやすくなるとの期待感から買い戻しが入った。ダウ平均は上昇に転じる場面があった。
S&P500種業種別株価指数は「IT」や「金融」など、全10業種中6業種が下落した。一方、「公益」や「通信サービス」など業績が景気動向に左右されにくい業種が上昇した。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の売買高は約9億8000 万株(速報値)、ナスダック市場は約20億株(同)だった。
AMDが8%と大幅に下落した。アナリストが投資判断を下方修正した家電量販大手ベスト・バイも3%近く下げた。前日夕にプリパッケージ型(あらかじめ再建策を策定したうえで破産法を申請する)の債務再編に取り組んでいることが明らかになった金融保証会社アムバック・ファイナンシャル・グループが急落した。ダウ平均構成銘柄ではインテルが下落率首位となったほか、非鉄大手アルコアや保険のトラベラーズ、マイクロソフトの下げが目立った。
一方、前日夕に発表した2010年4~6月期決算が大幅な増収増益となった米金融保証会社MBIAが上昇。ダウ平均構成銘柄では製薬大手メルクやファイザーの上昇が目立ったほか、クレジットカード大手アメリカン・エキスプレスも買われた。
ダウ工業株30種(ドル)
終値:10644.25 前日比:‐54.50
始値:10696.63 高値:10700.71 安値:10551.62
年初来高値:11258.01 年初来安値:9614.32
ナスダック総合指数
終値:2277.17 前日比:‐28.52
始値:2280.06 高値:2290.51 安値:2261.50
年初来高値:2535.28 年初来安値:2061.14
S&P総合500種指数
終値:1121.06 前日比:‐6.73
始値:1122.92 高値:1127.16 安値:1111.58
年初来高値:1219.80 年初来安値:1010.91
米30年国債:4.008% 米10年国債:2.768%
シカゴ日経平均先物9月限(ドル建て)終値 9495 (‐45) 大証終値比
シカゴ日経平均先物9月限(円建て) 終値 9485 (‐55) 大証終値比
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