11日の米国株式市場は大幅に続落し、ダウ工業株30種平均は前日比265ドル42セント(2.5%)安の1万0378ドル83セントと、7月22日以来、3週間ぶりの安値で終えた。ダウ平均の下げ幅は6月29日以来の大きさ。世界景気の減速や米景気の低迷への懸念を背景に売りが出た。外国為替相場が荒い値動きとなったことなどから、投資家が運用リスクを避けたことも売りを誘った。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は同68.54ポイント(3.0%)安の2208.63で終えた。
同日発表された中国の7月工業生産の前年同月比伸び率が縮小。前日発表の7月の輸入額の伸びが鈍化したこともあり、中国景気の減速で世界の景気回復の勢いが弱まるとの警戒感につながった。朝方発表された6月の米貿易収支では貿易赤字が市場予想以上に拡大。4~6月期の実質国内総生産(GDP)が大幅に下方修正されるとの予想が多く聞かれ、足もとの米景気の弱さが意識された。需要増加への期待が後退した素材や一般産業などの景気敏感株が下落。ダウ平均では非鉄大手アルコアや航空機大手ボーイング、建機大手キャタピラーへの売りが目立った。
アジア・欧州株が下落し、外為市場ではユーロが対ドルで大幅に下落。円は対ドルで一時85円ちょうどを上回って上昇した。金融市場全般が不安定だったため、投資家が運用リスクを回避したことも米株の重荷となった。米連邦準備理事会(FRB)は前日の連邦公開市場委員会(FOMC)で住宅ローン担保証券(MBS)などの償還金の米国債への再投資を決定したが、資金供給の景気押し上げ効果は限定的との見方が市場で広がったことも売りを誘った面があった。
ニューヨーク証券取引所(NYSE)の売買高は約11億6千万株(速報)。ナスダック市場は約22億2千万株(同)。業種別S&P500種株価指数では、「一般産業」を筆頭に全10業種が下落し、ダウ平均では全構成銘柄が下げた。
前日に続いてアナリストが業績見通しを下方修正した半導体大手インテルが下落し、同業のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)も売られた。アナリストが投資判断を引き下げたマイクロソフトが下落。フィラデルフィア証券取引所の半導体株指数(SOX)は4%下げた。
一方、朝方発表の5~7月期決算が予想を上回った百貨店大手メーシーズが大幅高で終えた。
ダウ工業株30種(ドル)
終値:10378.83 前日比:‐265.42
始値:10631.82 高値:10631.90 安値:10367.33
年初来高値:11258.01 年初来安値:9614.32
ナスダック総合指数
終値:2208.63 前日比:‐68.54
始値:2236.93 高値:2236.93 安値:2204.94
年初来高値:2535.28 年初来安値:2061.14
S&P総合500種指数
終値:1089.47 前日比:‐31.59
始値:1116.89 高値:1116.89 安値:1088.55
年初来高値:1219.80 年初来安値:1010.91
米30年国債:3.927% 米10年国債:2.691%
シカゴ日経平均先物9月限(ドル建て)終値 9135 (‐145) 大証終値比
シカゴ日経平均先物9月限(円建て) 終値 9125 (‐155) 大証終値比
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