２日の米国株式市場は大幅に上昇した。ダウ工業株30種平均は４営業日ぶりに反発し、前週末比208ドル44セント（2.0％）高の１万0674ドル38セントと、５月13日以来２カ月半ぶりの高値で終えた。７月の米製造業景況感指数指数が市場予想ほど悪化せず、米景気が「二番底」に陥るとの警戒感が後退した。予想を上回る欧州銀行の決算も投資家心理の改善を誘い、エネルギーや素材など景気敏感株を中心に買いが膨らんだ。
　ハイテク株の比率が高いナスダック総合指数は続伸し、前週末に比べ40.66ポイント（1.8％）高の2295.36で終えた。

　米サプライマネジメント協会（ＩＳＭ）が発表した７月の製造業景況感指数は55.5と前月に比べ0.7ポイント低下し、３カ月連続で悪化した。ただ、市場予想（54.7）ほど低下しなかったため、米景気が後退するとの過度の懸念が薄らいだ。英ＨＳＢＣと仏ＢＮＰパリバの決算が市場予想を上回り、欧州の金融システムへの警戒感が和らいだことも投資家心理の改善につながった。
　投資家がリスクを取りやすくなるとの見方から原油先物相場が大幅に上昇し、ＷＴＩ（ウエスト・テキサス・インターミディエート）で期近物が３カ月ぶりの高値を付けた。原油相場の上昇で、景気に敏感なエネルギー株や素材株に買いが優勢になり相場全体を押し上げた。
　バーナンキ米連邦準備理事会（ＦＲＢ）議長が講演で、「労働市場の緩慢な回復と先行きの不透明さが消費の重荷になっている」と指摘した。最近の議会での証言や地区連銀経済報告（ベージュブック）での景気認識に沿った内容で、株式相場の反応は乏しかった。
　Ｓ＆Ｐ500種業種別株価指数は全10業種が上昇した。「エネルギー」が３％以上の大幅高となり、「素材」や「金融」も２％あまり上昇。景気敏感株への買いが目立った。ニューヨーク証券取引所（ＮＹＳＥ）の売買高は約10億4000万株（速報値）、ナスダック市場は約18億9000万株（同）だった。
　 2010年１～６月期決算で純利益が前年同期の２倍となり、１株利益がアナリストの予想を上回ったＨＳＢＣは５％以上の大幅高。アナリストが投資判断を引き上げた飲料大手コカ・コーラも高い。４～６月期決算で2010年12月期の１株利益見通しを引き上げた医療保険大手ヒューマナも急伸した。ダウ平均構成銘柄は全銘柄が上昇。非鉄大手アルコアが５％近く上昇し、上昇率が首位だった。石油大手エクソンモービルや米金融大手ＪＰモルガン・チェースも大幅に上げた。
　一方、アラブ首長国連邦（ＵＡＥ）の通信規制庁が１日に同国内での携帯情報端末「ブラックベリー」の電子メールやウェブ閲覧サービスを10月11日から停止すると発表したことを受け、リサーチ・イン・モーションが１％近く下げた。

ダウ工業株30種（ドル）
終値：10674.38 前日比：208.44
始値：10468.82 高値：10692.20 安値：10468.59
年初来高値：11258.01 年初来安値：9614.32

ナスダック総合指数
終値：2295.36 前日比：40.66
始値：2283.32 高値：2299.24 安値：2274.27
年初来高値：2535.28 年初来安値：2061.14

Ｓ＆Ｐ総合500種指数
終値：1125.86 前日比：24.26
始値：1107.53 高値：1127.30 安値：1107.53
年初来高値：1219.80 年初来安値：1010.91

米30年国債：4.067％ 米10年国債：2.968％

シカゴ日経平均先物９月限（ドル建て）終値 9740 (+180) 大証終値比
シカゴ日経平均先物９月限（円建て）　終値 9720 (+160) 大証終値比