27日の米国株式市場は大幅に反発し、ダウ工業株30種平均は前日比164ドル84セント(1.7%)高の1万0150ドル65セントと2日ぶりに1万ドルの節目を回復して終えた。4~6月期の米実質国内総生産(GDP)改定値が市場予想を上回ったことなどを好感した。最近の相場下落で株式に割安感が強まっていたことも買いを誘った。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は同34.94ポイント(1.6%)高の2153.63で終えた。
GDP改定値は速報値から下方修正されたが、市場予想ほど落ち込まなかった。米景気に対する過度の警戒感が後退し、素材株やエネルギー株、金融株など景気敏感株が買われた。バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が午前の講演で、経済見通しがかなり悪化した場合などには追加の金融緩和をする用意があると述べたことも好感されたという。
このところの下げで株価が割安な水準になってきたとみた投資家からの買いもあった。前日に1万ドルを下回ったダウ平均に加え、S&P500種株価指数(27日終値は1064)も下値の節目とされる水準に近づいていたため、自律反発狙いの買いが入った。債券相場が急落したことを受け、株式市場に資金が流入しやすかったとの見方もあった。
相場は午前中ごろに下げる場面もあった。バーナンキ議長の講演内容が、事前の期待ほど追加の金融緩和に積極的な姿勢を示さなかったとの見方が一部で出たため。半導体大手のインテルが業績見通しを引き下げたことも一時嫌気された。
ニューヨーク証券取引所(NYSE)の売買高は約11億株(速報)、ナスダック市場は約21億3000万株(同)。業種別S&P500種株価指数では「素材」など全10業種が上昇した。
インテルは午前10時前に、パソコン需要の弱さなどを理由に7~9月期の売上高や粗利益率見通しの下方修正を発表。一時株価が急変動し値幅制限ルールに抵触したため、取引停止となる場面があった。ただ、最近の下げが大きかったこともあり、インテル株は上げて終えた。
外部記憶装置(ストレージ)メーカーの3PAR(スリーパー)が大幅高。同社買収をめぐってパソコン大手デルとヒューレット・パッカード(HP)が買収価格の引き上げ合戦を続けていることが手掛かり。デルも上げた。新型旅客機「787」の納入の遅れを発表した航空機大手ボーイングも高い。
一方、デルに対抗し朝方にスリーパーの買収価格を30ドルに引き上げると発表したHPが下落し、ダウ平均構成銘柄では唯一の下げとなった。5~7月期決算で売上高が市場予想を下回った宝飾大手ティファニーが下落した。
ダウ工業株30種(ドル)
終値:10150.65 前日比:164.84
始値:9982.18 高値:10159.88 安値:9936.62
年初来高値:11258.01 年初来安値:9614.32
ナスダック総合指数
終値:2153.63 前日比:34.94
始値:2134.16 高値:2154.99 安値:2099.29
年初来高値:2535.28 年初来安値:2061.14
S&P総合500種指数
終値:1064.59 前日比:17.37
始値:1049.27 高値:1065.21 安値:1039.70
年初来高値:1219.80 年初来安値:1010.91
米30年国債:3.690% 米10年国債:2.647%
シカゴ日経平均先物9月限(ドル建て)終値 9080 (+110) 大証終値比
シカゴ日経平均先物9月限(円建て) 終値 9080 (+110) 大証終値比
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