30日の米国株式市場は大幅反落し、ダウ工業株30種平均は前週末比140ドル92セント(1.4%)安の1万0009ドル73セントとこの日の安値圏で終えた。8月の米雇用統計など今週発表の米経済指標が低調な内容になるとの警戒感が強く、金融や半導体など業績が景気動向に左右されやすい銘柄に売りが出た。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数の終値は同33.66ポイント(1.6%)安の2119.97だった。
エコノミストの間では3日発表の米雇用統計で非農業部門の雇用者数が10万人余り減るとの予測が多い。米サプライマネジメント協会(ISM)の8月の製造業景況感指数も前月から悪化が見込まれている。投資家は結果を見極めたいとして買いを手控え、相場はじりじり下げ幅を広げた。
30日朝発表の7月の個人消費支出は前月比で増えたが市場予想並み。相場を押し上げるには力不足だった。企業のM&A(合併・買収)発表が相次いだが、市場への資金流入を好感した買いは限られた。日本やアジアの株高にも反応薄だった。
前週末にバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が追加金融緩和の用意があると述べたのを受けて相場が大きく上昇していたため、利益確定売りも出た。
業種別S&P500種株価指数は「金融」など全10業種が下げた。ダウ平均構成銘柄はパソコン大手ヒューレット・パッカード(HP)を除く29銘柄が下落。小売りのホーム・デポや、金融のバンク・オブ・アメリカなどの下げが大きかった。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の売買高は約8億2000万株(速報値)、ナスダック市場は約15億4000万株(同)。
半導体大手のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)やテキサス・インスツルメンツ(TI)が大きく下げた。景気減速懸念に加え、前週に同業のインテルが売上高見通しを下方修正したことが重荷になった。
独半導体大手の携帯電話用半導体事業を買収すると発表したインテルが2%余り下落。生体認証システムを手掛けるコジェントを買収すると発表した化学のスリーエムも売られ、それぞれダウ平均を押し下げた。
米バイオ製薬のジェンザイムに185億ドルで買収提案した仏製薬大手サノフィ・アベンティスの米預託証券(ADR)も安い。インターネット電話のスカイプ・テクノロジーズに買収提案すると一部で報じられたシスコシステムズも下落した。
半面、買収対象のコジェント、ジェンザイムは買われた。HPは約1.5%高。自社株買いの発表に加え、外部記憶装置メーカーの3PAR(スリーパー)買収を巡るデルとの競争が有利に運んでいるとの見方も買いを誘った。デルも上昇。買収価格つり上げが一服する可能性を意識してスリーパーは下げた。
ダウ工業株30種(ドル)
終値:10009.73 前日比:‐140.92
始値:10145.58 高値:10150.57 安値:10007.68
年初来高値:11258.01 年初来安値:9614.32
ナスダック総合指数
終値:2119.97 前日比:‐33.66
始値:2145.76 高値:2154.47 安値:2119.93
年初来高値:2535.28 年初来安値:2061.14
S&P総合500種指数
終値:1048.92 前日比:‐15.67
始値:1062.90 高値:1064.40 安値:1048.79
年初来高値:1219.80 年初来安値:1010.91
米30年国債:3.581% 米10年国債:2.530%
シカゴ日経平均先物9月限(ドル建て)終値 8985 (‐145) 大証終値比
シカゴ日経平均先物9月限(円建て) 終値 8985 (‐145) 大証終値比
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