29日の米国株式市場は下落し、ダウ工業株30種平均は前日比30ドル72セント(0.3%)安の1万0467ドル16セントで終えた。画像処理半導体(GPU)大手エヌビディアや食品大手ケロッグが業績見通しの引き下げを発表したことを受けて、ハイテクや消費関連株を中心に売りが優勢となった。企業業績に対する期待などからこのところ相場が上昇基調にあり、利益確定売りが出やすかった面もある。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は3日続落し、同12.87ポイント(0.6%)安の2251.69で終えた。
ウイルス対策ソフトを手掛けるシマンテックが前日夕に発表した業績見通しが市場予想を下回り、画像処理半導体(GPU)大手エヌビディアは売上高見通しの引き下げを発表した。日用品大手コルゲート・パルモリーブが発表した四半期決算では、売上高が予想を下回った。これらの銘柄が下落し、同業のハイテクや消費関連株にも売りが波及した。このところ企業業績への期待から相場が上昇しており、利益確定売りも出やすかった。
セントルイス連銀のブラード総裁が発表した論文で、米国の金融政策が日本型デフレに陥る可能性を高めている可能性があると指摘。経済にショックが生じた場合には、国債購入による量的緩和策を拡大するのが望ましいとの見方を示した。米景気の低迷が日本のように長引くとの思惑を誘い、ダウ平均は一時110ドル安まで下げ幅を広げる場面があった。
ただ、売り一巡後は相場は下げ渋った。30日に発表される4~6月期の実質国内総生産(GDP)速報値を見極めたいする市場参加者は多く、売り進む動きが限られたという。
業種別S&P500種株価指数では全10種のうち「公益」や「消費安定」などが8種が下落。一方、「金融」や「素材」が上昇した。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の売買高は約11億6000万株(速報値)、ナスダック市場(同)は約23億3000万株だった。
シマンテックは11%、エヌビディアは10%と急落。コルゲートは7%下落した。決算と併せて業績見通しの引き下げを発表した食品大手ケロッグは7%下落。同業のクラフト・フーズは2%下げ、ダウ平均構成銘柄で下落率首位となった。
決算が大幅増益だった石油大手エクソンモービルは買い先行後に、利益確定売りに押され、1%安で終えた。決算が市場予想を上回った通信機器大手モトローラも安く終えた。前日夕に電子書籍端末「キンドル」の新機種を8月に発売すると発表したインターネット小売り大手アマゾン・ドット・コムは小安い。減益決算を発表したクレジットカード大手ビザは4%安。
一方、製薬大手メルクは1%上げた。銀行大手シティグループは0.7%上昇。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)に関連した持ち高の情報を十分に開示しなかったとされる問題で、米証券取引委員会(SEC)に和解金を支払うことで合意したと伝わった。
ダウ工業株30種(ドル)
終値:10467.16 前日比:‐30.72
始値:10498.94 高値:10584.99 安値:10387.39
年初来高値:11258.01 年初来安値:9614.32
ナスダック総合指数
終値:2251.69 前日比:‐12.87
始値:2279.07 高値:2282.94 安値:2228.52
年初来高値:2535.28 年初来安値:2061.14
S&P総合500種指数
終値:1101.53 前日比:‐4.60
始値:1108.07 高値:1115.90 安値:1092.82
年初来高値:1219.80 年初来安値:1010.91
米30年国債:4.078% 米10年国債:2.986%
シカゴ日経平均先物9月限(ドル建て)終値 9645 (‐45) 大証終値比
シカゴ日経平均先物9月限(円建て) 終値 9640 (‐50) 大証終値比
PR