23日の米国株式市場は下落し、ダウ工業株30種平均は3日続落し、前週末に比べ39ドル21セント(0.4%)安の1万0174ドル41セントと7月 21日以来1カ月ぶりの安値で終えた。M&A(合併・買収)の動きが相次ぎ伝わったため投資家心理が改善し、買いが入る場面があったが、米景気の先行き不透明感が根強く次第に売りが優勢になった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は反落し、同20.13ポイント(0.9%)安の2159.63と7月7日以来ほぼ1カ月半ぶりの安値で終えた。
米パソコン大手ヒューレット・パッカード(HP)が同業のデルによる買収で合意していたストレージ(外部記憶装置)メーカーの3PAR(スリーパー)にデルを上回る買収価格を提案した。英銀大手HSBCは南アフリカのネッドバンク・グループの買収で交渉していると発表した。潤沢な企業の資金が株式市場に流入し、下値不安が和らぐとの見方からダウ平均は朝方に90ドルあまり上昇する場面があった。
もっとも、M&Aに期待した買いは続かなかった。このところ米景気の先行き不透明感を意識させる経済指標が相次いで発表されたため、あす7月の中古住宅販売件数など今後発表予定の指標を見極めたいとの雰囲気が強まった。取引終了にかけては一般産業や素材など景気敏感株に売りが優勢になり、ダウ平均も下げ幅を拡大した。
業種別のS&P500種株価指数は10業種中6業種が下落。「一般産業」「素材」に加え「IT(情報技術)」や「消費循環」が下げた。一方、業績が景気動向に左右されにくいとされる「公益」や「ヘルスケア」は上昇した。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の売買高は約8億7000万株(速報値)、ナスダック市場は約16億4000万株(同)だった。
スリーパーにデルを上回る買収価格を提示したことを受け、財務負担への懸念からHPが2%あまり下げた。デルも1%以上の下落。ダウ平均構成銘柄では建機大手キャタピラーが3%近く下げ下落率首位。ネットワーク機器大手のシスコシステムズや航空大手ボーイング、非鉄大手アルコアといった景気敏感株が下落率上位に入った。
一方、スリーパー株は4割以上の急伸。同業のコンペレント・テクノロジースも買われた。HSBCは小幅高。英豪資源大手BHPビリトンによる買収提案の拒否で取締役会が合意したカナダの肥料メーカー、ポタシュ・コーポレーション・オブ・サスカチワンも上昇した。ダウ構成銘柄では米小売大手ウォルマート・ストアーズが2%近く上昇し、上昇率首位。製薬大手のメルクとファイザーも上昇した。
ダウ工業株30種(ドル)
終値:10174.41 前日比:‐39.21
始値:10215.51 高値:10304.70 安値:10170.29
年初来高値:11258.01 年初来安値:9614.32
ナスダック総合指数
終値:2159.63 前日比:‐20.13
始値:2188.34 高値:2200.52 安値:2159.44
年初来高値:2535.28 年初来安値:2061.14
S&P総合500種指数
終値:1067.36 前日比:‐4.33
始値:1073.36 高値:1081.58 安値:1067.08
年初来高値:1219.80 年初来安値:1010.91
米30年国債:3.665% 米10年国債:2.600%
シカゴ日経平均先物9月限(ドル建て)終値 9045 (‐55) 大証終値比
シカゴ日経平均先物9月限(円建て) 終値 9045 (‐55) 大証終値比
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